POLICY
「人」や「ぶどう」との出会いはすべて、自然なことであり、必然なのかもしれません。
その年に出会うぶどうを信じて、できるだけ自然のまま、ありのままに造る。
これが私たちのワイン造りの姿勢です。工程がシンプルだからこそ、ぶどうに対する想いや、毎日の作業の丁寧さがワインの品質に反映されます。
そのようなワイン造りはごまかしもききませんし、とても難しい面もありますが、人を本当に幸せにする「美味しさ」はそこから生まれると思います。
もうひとつ大切にしていることがあります。
それは、自園で栽培するぶどうでワイン造りを目指すと同時に、近郊の信頼する生産者さんから健全に育てられているぶどうを購入し、ワインを造ることです。なぜならぶどうを毎年買い続けることにより、お互いが支え合う循環する農業が実現できるからです。たくさんの人々の情熱が、ワインというカタチで運ばれます。それが本当の意味でのつくり手と楽しむ人をつなぐ笑顔の循環になるのではないでしょうか。この循環に参加する想いのある人を少しでも増やしたい。そしてそれができるのも「日本ワイン」の可能性のひとつだと考えています。
ぶどうについて
自園ぶどうについて
2014年から川崎町安達の畑でぶどうを栽培しています。現在、1.5haの畑で垣根栽培をしています(2018年5月現在)。
美味しく健全なぶどうを栽培することは「生きている土壌」をにすること。土壌にいる多種多様な微生物の環境バランスを整えて健康な土壌を育むことで、美味しく健全なぶどうを育てることを目指しています。
必要以上の施肥をせず、土壌に合わせてゆっくりと育むことで、その土地の耐候性を持ったぶどうに育つでしょう。そしてきっと力強い味わいを持つだろうと考えています。
また、ここに適した品種を選定するため、多品種のぶどうを育てています。単一栽培でなくさまざまな植物や生き物と共生することで、多様性に富んだ環境になると考えています。
仕入れぶどうについて
2018年現在、仕入れぶどうのほとんどは、お隣の山形県南陽市、そして高畠町のぶどう農家さんが栽培する、主に生食用ぶどうです。
農家さんおひとりおひとりの園地に定期的に足を運び、収穫時期や、収穫前の手入れなども、農家さんと相談しながら決めていきます。
醸造について
温度管理
通常、白は低温、赤はより高い温度で発酵させるといったセオリーがありますが、私たちは、機械や設備を使った温度管理をほとんどいたしません。初期の発酵が難しくなるような低温の場合にのみ、タンク自体にお湯を回しかけるなどして発酵を促すことはあります。
酵母
基本的に、ぶどうに付着している野生酵母のみで発酵させます。
意図的に培養酵母を添加することで、ぶどうが本来進みたい方向と離れたワインにしたくないからです。ただし、外気温の影響などなかなか発酵がスタートしそうにない場合のみ、すでに発酵が始まっている醸造中の液体を、1000ℓに対して10ℓ程度添加する場合がございます。培養酵母などのスターターや、乳酸発酵を促す培養乳酸菌などの添加剤は、今後も一切添加することはないと思います。
仕込み
基本的に、自社で早朝から収穫し、その日のうちに醸造を開始します。プレスや除梗にのみ機械を使う場合がございますが、それ以外はぶどうに寄り添って繊細な状態を把握し、健全な発酵が進むよう見極めております。
その他
ワイン造りでは、一切の添加物を加えません。
農家さんにとって一年の集大成でもあるぶどうは、収穫のタイミングがすべてです。手塩にかけてぶどうを育てた農家さんの顔を思い浮かべ、敬意を払って作業をします。選果するときも収穫してからカゴの中で行うのではなく、ぶどうにとってストレスがかからないよう樹上で行います。健全なぶどうのみで醸造するので、酸化防止剤の添加や、補糖・補酸・除酸なども不要です。醸す期間やプレスのタイミング、アッサンブラージュなどで味のバランスを取ります。